2021 – 2022 Japan

Tsutsumu / Wrapping Creation Project with The Backers Foundation and AIT, Tokyo, Japan

バッカーズ・ファンデーションとAITによるレジデンスプログラム(The BAR Vol.13)に参加し、「包む」プロジェクトを現在進行中。

–ceramic piece, thread, woodchip, paper box, instruction & contract, envelope for sending back 
–陶片、靴下工場の残糸、桐粉、紙箱、説明書と同意書、返送用封筒

(日本語は後述)
This project is now going on with 22 collaborators who has the responsibility to wrap a piece of work and send it back to the artist. This is one way to know how others mourn/care about one another through the practice of “包む tsutsumu”, a Japanese word for “wrapping” things.

During the research of various funerals, Tsukuda found that rituals are often held between changes of “state” of the body, which include the change of the body’s location, substance, or time. It seems that repeating devotions and actions in given rituals gradually leads people’s mind to calmness.

These elements of funerals reminded Tsukuda of “wrapping”, which is also a way to change the state of objects, and often a preparation to let go of one’s possessions. The idea of this project is to cause changes to an object by wrapping. The pieces wrapped and returned will be the motif and material for the next creation process—the next change of state.

このプロジェクトは、作家の亡くなった知人のお墓を諸事情により参ることができないことから、葬送の儀礼や、誰かを悼む・想うことについて、22名の他者の手を借りながら考えるプロジェクトである。

作家の制作した陶片を、それぞれ桐粉と糸とを練り合わせたもので型取り、その型を梱包材として紙箱に設置し、陶片をプロジェクト参加者に送付する。受け取った参加者は、陶片を自由に包み、添付の封筒で返送し、陶片の型は手元に残す。

(下記は陶片送付時に参加者に添付したテキスト)

この度は本プロジェクトにご協力いただき誠にありがとうございます。
このプロジェクトは、美術作家の佃 七緒が、亡くなった知人のお墓を諸事情により参ることができないことから、葬送の儀礼や、誰かを悼む・想うことについて考え始めたことをそのきっかけとしています。

日本にて多く行われる、仏教をベースとした葬送儀礼に限らず、様々な地域や宗教の葬送儀礼において、多くの場合共通するのは、なきがらの移動・状態変化・時間の経過の間に儀礼を挟み、段階を経て、亡き人を悼む生者の日々が落ち着いていくこと、だと感じています。

今回みなさまにご協力をお願いしたいのは、お送りした物を「包む」ということです。みなさまに包んでいただくことを通して、物の状態は変化します。「包む」ことは、日々の生活の中での必要に応じてだけでなく、信仰、儀礼、美のためなど、様々な場面で行われてきました。「包む」という行為は必然的に、その包む対象と、包む人の状況や想い、包みをその後どうするか、などのいくつかの要素が関連し合いながら行われます。

今回は、みなさまにとって、元々何の用途も由来もないものを「なぜだか包む」ことにご参加いただきます。
お仕事や、他の方とのお付き合いの中での包みとは異なる、「包む」時間をお楽しみいただけますと幸いです。ご家族やご友人のみなさまとご一緒に「なんだこれ」「どうしよう」と、お取り組みいただいても大丈夫です。

焼き物という移動に少し気を遣うものが、みなさまの手を通し、どう変化していくのか。
みなさまにお送りいただいた「包み」は、その様子に合わせ、佃七緒の手で新しく収まる居場所が作られ、新たな作品の一部としてまた変化します。移動する中で、状態が変化し、物の時間が経過していくこと。その間に人の時間が流れること。
それら全体をご体験いただければと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

2021年12月 佃七緒