2023 – Kyoto, Japan

2023.08.02-08.23
Solo Exhibition ‘CHI (on) LE 地のレ’ at NIHA gallery, Kyoto, Japan.
個展「地のレ展」、ニハギャラリー、京都。


【CHILE】チリ(国名)
【レ】ボールが跳ねるように地表に接点の少ない字
【ニハ】1階は地中(のよう)/ 2階はギャラリー
【レ点】下から上へ、一字返って読む


チリに滞在し、土地をうつそう(写そう・移そう)と作家・佃が持ち帰った作品群(陶・ドローイング・写真・映像)で構成された展覧会。

アタカマ砂漠では、その土地に根付く弔いの儀式や埋葬の文化・考え方などのリサーチを目的に滞在した。多様な情報や素材も手に入る一方で、短期の滞在で得られる知識や感覚がいかに地表をさらっただけに留まるかをも感じた。

日本でいま一度作品を展示することで、来場者と共にチリで得た知見を共有し、じっくりと話し合う場を作る。

NIHA(ニハ)ギャラリーの日の射さない暗い1階を「地中」と見立て、導入となる映像作品を上映。また、明るい日が強く射し込む2階を「地上」、その床面を「地表」と見立て、陶作品・ドローイング・写真などを展示する。

 

助成(レジデンス・展覧会・冊子製作)
小笠原敏晶記念財団 2022年度「調査・研究等への助成(現代美術分野)」

 


滞在記録冊子「砂礫 GRAVA」
販売中(詳細後述)


2023年2-3月のチリ・アタカマ砂漠での滞在中に制作した陶作品の写真と、その制作背景となる現地で聞き書きしたことなどを主として編集。滞在先の庭で描いたドローイングや、滞在中の写真なども掲載。

販売中
冊子『砂礫 GRAVA』
— 2,750円(税込・送料別)

冊子概要:
●表紙:(A2変形)砂漠で撮影した写真のポスター
●本体:(A3変形二つ折り)
 表・陶作品の写真とテキスト
 裏・ドローイングなど
●写真冊子:(160x98mm)
 首都サンティアゴ、南部パタゴニア地方、アタカマ砂漠の写真が混在。
 3種類のうち1種がランダムに添付される。
●企画・執筆・編集:佃七緒
●作品写真:大澤一太
●デザイン:中家寿之


ご購入時のご注意

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序文:(本文より抜粋)

見通しの良すぎるアタカマ砂漠に立ち、まぶしい広さに思いを馳せる。
(とか言うて何をはせるねん)
というぼやきが浮かんできて、私にはそういう向き合い方はどうにも向いていないと感じる。

砂漠の反射光を一身に浴びて居所なく、ふと日本から持ち込んだ紙を広げて、砂礫の上に置き、写真を撮る。太陽に雲がかかり周りが少し暗くなるとすぐ風が吹く。置いた紙が瞬間にふっ飛び、見通しの良すぎるアタカマ砂漠で引っかかることなく地面とぶつかっては逃げていく。ので、必死にどこまでも走る。紙を掴んで戻り、砂漠でめぼしい石を持ち上げてまた地面に紙を置き、上から元あった位置に石を置き直す。

アタカマ砂漠の地面に置いた白い紙は、色も形も光の反射も不自然に白く浮く。その時はその白さがただ目にめずらしくて写真を撮る。白のまぶしさと共に写る小石の小さな影を見て日の傾きを知る。

日本に帰って再度撮った写真を見る。
置かれた1枚の白すぎる紙の下に、先住してきた人々の骨や暮らしが埋まっている。その時代ごとの砂礫の動きやかつて流れた水の跡が埋まっている。あの広すぎる空間に立っていた時に思いを馳せたかったかもしれないことは、写真を眺めるほんの少しの間だけ、カメラを構えていたときの砂礫と風、まぶしさを思い出して、考えてみることはできる。