ねるneru企画「鑑賞をつくる、策を練る会(仮称)」

ねるneru企画「鑑賞をつくる、策を練る会(仮称)」
参加者募集

現代美術の制作・企画を行う佃七緒と、パフォーミングアーツの研究を行う庄子萌によるユニット〈ねる neru〉は、2024年2月から1年ほどの間、神戸・岡本にて、美術、工芸、パフォーマンス、文芸、デザイン、音楽などジャンルは問わず、作品の「鑑賞体験を探る・試す・観る・話す」ことを共に楽しんでくれる仲間を募集します。

企画概要

鑑賞者(観客)の前に差し出される作品だけでなく、作品の周辺で発生する時間や空間の広がり、そして《鑑賞する》《観る》行為そのものをも丁寧にデザインすることについて考えたい、というのが〈ねる neru〉による本企画の趣旨です。さまざまな形態のアートを、作品の周辺の諸々を含み込んでひとつの《体験》として紡ぎあわせた展覧会(仮称)に結実させることを目標に、しかしまずはちいさな規模でのリサーチと実験を積み重ねたい。〈ねる neru〉は、リサーチ・実験・検討からなる一連のプロセスにやや長期的なスパンで取り組む仲間を募ります。その実験の場には、ゲストや他分野を専門とするひと、地域の人々などが加わることもあります。


「さまざまな形態のアート」
——それは演者を含むインスタレーションやパフォーマンスなのかもしれず、観客(鑑賞者)とのなんらかの共同作業を含むものかもしれない。テクストや詩歌、音楽のように文字や音声で表現されるものかもしれないし、絵画、彫刻、陶芸、テキスタイルといった物としての作品かもしれない。あるいは空間の広がり(狭まり)に対する働きかけなのかもしれません。美術作家、詩人、デザイナー、音楽家、演奏家、ダンサー、アーティスト、役者、研究者、どのように自らの肩書きを定義するひとびとであるかは問いません。ここまで(長々とした逡巡を)読んでくださった方、興味を持って眺めてくださった方にこそぴったりな機会のようにも思います。リサーチを重ねる過程のなかで、作品を展示・上演するだけでない最終発表の場への関わり方ーーたとえば記録のあり方を考える、全体にわたるデザインを手がけるなどーーも見えてくるのではないかと考えています。


〈ねる neru〉は企画者として、すべての仲間のリサーチ、実験、検討に参加し、ともに作品の場のもつ輪郭を作ります。個々の作品の住まう全体をキュレーションする者として、複数の作品の間隙に鑑賞者(観客)に向けた仕掛けをしのばせるべく、発想を練ることもします。


冒頭で「〈ねる neru〉は、リサーチ・実験・検討からなる一連のプロセスにやや長期的なスパンで取り組む仲間を募ります」と申し上げました。それはひっくり返せば、仲間のみなさんにも互いの過程に関わってほしいということでもあります。参加者同士での実験と検討のなかに、ゲストや地域の人々といった他者の声を招き入れることで、より開かれた対話をもつ機会としたいと思います。


最終的な発表・公開の場となる展覧会(仮称)では複数の作品がひとつの建物の中に住まうことになりますが、本企画はたんなる共同展へのお誘いではありません。各々が全体への視点も持ちつつ、互いのリサーチ、実験、検討に参加し、互いに批評しながら、ともにひとつの場を作る、有機的な営みを目指すものです。長期的なゆるいつながりの中にあって、時々集中的に試行/思考をともにする、不定期に行われる真剣なサークル活動のようなイメージかもしれません。


終着点ありきではないプロセスにともに取り組むことに興味を持ってくださる方をお待ちしています。

〈ねる neru〉庄子萌

【募集要項】

公募期間:
2024年1月12日~2月3日

応募締め切り:
2024年2月3日(土)23:59まで
※広報時期の遅れたメディアがあるため、選考中(2月10日中まで)は応募を受け付けています。

募集人数:
3~5名程度

●募集対象:
何らかの制作や研究に関わる方(個人)
※グループや団体での参加を希望する場合も、参加希望者ごとに個別に応募資料を提出してください。

主な活動場所:
神戸岡本のアートセンターなど
リサーチと実験、検討の場、また最終的な展覧会を作ることを目指す物理的な〈場〉となる場所です。実際に足を運び、そこで対話や実験をすることに重点があります。

活動期間:
2024年2月〜2025年2月

参加していただきたい活動内容:

①顔合わせ・ヒアリング【2024年2月中】
※オンライン又は直接対面で行います。

②リサーチ【2024年2~6月】
会場となる施設や周辺地域をめぐり、使ってみたい空間を探索する。
※ご要望次第でneruも人手として同行します。

③「実験会」【2024年3~6月】
自身の作品を会場に持ち込み、実験的な展示や上演を行い、他の参加者と検討します。期間中に最低一回は「実験者」を担当すること。
※旧作や制作途中のもの、他者の作品などを使用して実験することも可。
※人・物の移動の方法等はneruと相談。

④鑑賞・検討【2024年3~6月】
他の参加者の「実験会」時に、鑑賞・検討・記録に参加すること。
※毎回の参加が義務というわけではありませんが、体験して話し合うことを大事にしたいと考えているため、前向きな参加がうれしいです。
※実験会の鑑賞・検討には参加者以外にゲストや地域の方などを招待します。

⑤最終発表・公開【2025年1~2月】
参加者全員での最終発表・公開の場の制作。
※作品展示、パフォーマンス等織り交ぜた、数日・短期でのイベント開催を予定。
※日程は会場・参加者のみなさんと調整していきます。


◎その他【随時・希望者のみ】
企画全体の期間を通してのデザイン(ビジュアル・空間など)や、ドキュメンテーション(プロセスの収集・記録・整理等を行い、ウェブ媒体や紙媒体の製作に向けて文書化すること)、設営や他の参加者の補助など、関わってみたいものがあれば。(報酬面も現在調整中)

参加助成:1人5万円
※人・物の移動に関しては随時neruがご相談承ります。
(助成金の取得次第で各参加者のサポートの仕方を調整)

応募方法:
hi.neru.works(@)gmail.comまで、メールにて以下の資料を添付し提出。

①応募フォーム(word, pdfファイル)
※下記より応募フォームのファイルをダウンロードし、ファイル名を「ご自身の氏名.pdf」にして1つのpdfにて提出してください。

②これまでの活動のわかる資料
※ウェブ上で閲覧できるウェブサイト、ウェブポートフォリオ、SNS、テキスト・画像・映像資料等がある場合は応募フォーム内にリンクを記入
※ウェブ上に閲覧できる資料がない場合は、メール添付にて提出(合計20MB以内のpdfまたはjpg)。

問合せ・質問:
hi.neru.works(@)gmail.com(佃・庄子)

ダウンロード用応募フォーム(Word)

ダウンロード用応募フォーム(pdf)



〈ねる neru〉について

パフォーミングアーツの研究を行う庄子萌、現代美術の制作・企画を行う佃七緒のアーティスト・リサーチユニット。美術等の展覧会や演劇・パフォーマンス等の鑑賞時に、鑑賞者が「どのように作品と時間を過ごす(または過ごさない)か」を中心に、アートの企画の設計を研究・試行する。


佃 七緒(つくだ ななお)
nanaotsukuda.com

2009 年京都大学文学倫理学専攻卒業、2015 年京都市立芸術大学大学院 ( 陶磁器 ) 修了。

国内外に滞在し、他者の日常にて行われる周囲の環境や状況への「カスタマイズ」を抜き出し、陶や布、写真、映像などを用いて表現している。近年の活動に、La Wayaka Current での滞在制作 ( アタカマ砂漠・チリ /2023)、「RAU 都市と芸術の応答体」に参加 ( 黄金町・神奈川 /2022)、京都 HAPS での企画『翻訳するディスタンシング』資料集出版(2022)、など。

庄子 萌(しょうじ もえ)

2008 年京都大学文学部フランス語学フランス文学専修卒業、2010 年京都大学大学院文学研究科修士課程英語学英米文学専修修了、2011 年英シェフィールド大学修士課程修了(演劇・パフォーマンス研究)、2021 年同大学にて博士号取得(英文学、演劇・パフォーマンス研究)。

ものの《あわい》にあるもの、そこで起こる事柄に深い関心を抱き、パラテクストの概念を応用した、パフォーマンス作品およびパフォーマンス・フェスティバルの分析を目下の研究テーマとしている。研究活動と並んで翻訳も行うほか、現在は演劇や翻訳と同様にパフォーマティブな営みである言語教育への関心も深めているところ。